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国内 特集:技術向上・人材定着の入口となる腰痛予防助成

シルバー産業新聞 特集記事

リフトや特殊浴槽など、介護負担を軽減する機器導入への助成制度として2009年に創設された「介護労働者設備等整備モデル奨励金」は、今年度「人材確保等支援助成金」(介護福祉機器助成コース)として10年目を迎えた。予算は41.5億円。厚生労働省職業安定局介護労働対策室の川上洋二室長は「制度内容は年々変遷しているが、身体的負担の軽減で職場環境改善をめざすという軸は変わらない。他の助成金活用やICT化も含め、職員の定着率向上をトータルで支援していく」と話す。

介護ロボ導入活用事例の横展開を

介護福祉機器助成コースは、身体的負担の改善度を要件とする「機器導入助成」、離職率低下・生産性向上を要件とする「目標達成助成」の2段階で構成。両方を満たした場合、最大300万円の助成が受けられる。

機器導入助成は前もって導入計画を都道府県労働局に申請し、認定を受けた計画をもとに3カ月〜1年の機器導入を実施。「身体的負担が大きいと感じている職員数の改善率が70%以上」等の要件を満たした場合、機器導入関係費の25%(最大150万円)が助成される。

費用には機器購入費(保守契約費含む)のほか、機器を適切に使用するための技術的な研修費も含めることができる。

川上室長は「介護事業主が現場でよく情報収集・吟味をして導入検討されるものと承知している。本助成金もその一助になれば幸い」と話す。

17年度の支給決定件数は2878件、支給決定額は47億円(16年度の未支給分含む)。機器別では特殊浴槽が約40%、移動・昇降用リフト、自動車用車いすリフトがあわせて20%強を占める。

「機器メーカーが周知や、手続き等のフォローをすることもある」と同氏。制度のさらなる普及にあたっては、介護労働安定センターの相談支援機能をあげ、「制度の説明だけではなく、例えば実際に助成を受けた施設が見学できるなど、活用事例・取り組みを情報共有できるようになるとよい」と述べる。

とくに、今年度からは経済産業省が定める介護ロボット重点分野より「装着型/非装着型移乗介助機器」が対象品目に追加。「老健局の介護ロボットの導入支援及び効果実証研究事業において、身体的軽減効果があるとされたため」と同氏。「介護現場でのノウハウ蓄積に向けて、導入した事業所を紹介するなどの導入事例の横展開を介護労働安定センターに促していければ」とした。

機器導入を職場改善のきっかけに

目標達成助成は、昨年度から介護労働者の定着をより実効性あるものとすることを目的に設定。また、「日本再興戦略」で労働生産性の付加価値を高める考え方に沿って、労働関係助成金に昨年度導入された。

機器導入助成を受けた事業所のみが申請でき、離職率低下・生産性向上を両方達成した場合は機器導入関係費の35%、離職率低下のみ達成した場合は20%を助成する(いずれも上限150万円)。

離職率要件は、機器導入の計画申請日前1年間と計画期間終了後1年間を比較し、従業員数別に規定した低下率をクリアしていること。生産性要件は、営業利益や人件費等をもとに計算する指標が3年前より6%以上伸びていることなどとする。

離職率の算定終了時期が早くて今年の夏以降となる見込みのため、昨年度は目標達成助成に係る実績は出ていない。同氏は「申請動向を見守りたい」としつつ、「機器導入が直接的に離職率低下に影響するかは別として、職場環境を見直すきっかけにしていただければ幸い。介護労働者の職場定着促進に資する賃金制度の整備(同助成金の別コース。介護・保育労働者雇用管理制度助成コースを活用可)や、ICTの導入といった、他の取り組みと複合的に実施するなど、トータルで職場の働く環境が魅力的になれば定着率向上も期待できるかもしれない。こうした点も介護労働安定センターで相談に乗ることが可能なので、活用していただければ」と述べる。

介護労働実態調査によると、介護従事者の離職率は16年時点で16.7%と低下傾向に。「全産業平均の15.5%に近づいてきている」と同氏は話す。同省では引き続き、本助成金の利用状況の推移を見守っていく。

(出典:シルバー産業新聞)
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