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調査 介護入門的研修の導入 「有効」51%

人手不足解消に向け重層的な対策が求められる

厚生労働省は介護人材不足を解消する手立てとして、従来より短時間で介護に関する知識を学ぶ入門的研修の導入を決めた。「シルバー産業新聞」では、現場のケアマネジャーに介護入門的研修が人材確保に有効かどうかアンケートを実施。その結果、「有効である」としたケアマネジャーは51%と、「有効でない」44%と拮抗したが、いずれの立場からも質の低下を懸念する声が上がった。

深刻化する介護人材不足解消へ向け、9月に厚労省は入門的研修や介護福祉士の養成カリキュラム見直しを柱とする報告書をまとめた。他業種や中高齢者など未経験者の参入を促し介護人材の裾野を広げる目的。

これを受け、「シルバー産業新聞」では現場で働くケアマネジャーに対しアンケートを実施。入門的研修の導入が介護人材の確保に有効かどうかを尋ねたところ、「有効である」と答えたケアマネジャーは51%、「有効でない」と答えたケアマネジャーが44%でほぼ半数ずつに分かれた。

具体的な理由をそれぞれ自由記述で尋ねたところ、「有効である」と答えた人で最も多かったのは敷居が下がることで、初めて介護職に就くきっかけになるという意見。

「研修時間の短縮により、関心をもっていた人が一歩踏み出しやすくなる」(茨城県、女性)、「介護の需要は高まってきていると思う。介護の仕事につきたいと考えている方々が不安なく、介護知識を得ることができると思う」(青森県、女性)などの意見が寄せられた。

次に多かったのが人材の幅を広げることができるとする意見。

「対象者が増えることは良いことだと思う」(大阪府、女性)や「身体介護以外の技術をあまり要しない職務内容の人員不足解消には有効だと思う」(茨城県、女性)などの声が上がった。

このほか「周知をするのに必要だと思う」(大阪府、女性)、「介護保険のことを良く知り、納得して仕事をすることが大事」(大阪府、女性)、「人材不足の折、やむを得ない。半分の研修時間であっても必要最低限度、要介護者に接するための研修を受けて現場の戦力になっていただくことも重要」(広島県、女性)などの意見が寄せられた。

「有効でない」44%
「有効である」とする意見が51%だったのに対し、「有効でない」とする意見は44%だった。

具体的な理由を自由記述で尋ねたところ、最も多かった意見が、介護職の質の低下を心配する意見。

「時間を短縮して研修して介護職員のスキルは保てるのか疑問」(無記入、女性)、「付け焼刃にしかならない。現状も頭数がそろえばいいというわけではなく、スキル不足が深刻化しているように感じる」(大阪府、男性)などの声が寄せられた。

次いで多かったのは、賃金等の処遇に関する意見。

「介護業界の賃金をもっと上げられるようにならないと、人材は集まらない。人材不足の原因は低賃金であるにもかかわらず、行政からの締め付けが厳しく、仕事そのものに夢や希望がもてないからと思う」(無記入、女性)、「金銭面で他職種との差額調整が必要」(大阪府、男性)などの声が上がった。

このほかに、「研修で技術的な面だけ力を入れたとしても、受ける方の能力や性格にも個人差があると思われる。なので離職率の改善には至らない。根本的なところで方向が違うのではないか」(無記入)、「研修や資格のチェックにとらわれて、本質から考え方が離れていると感じる」(大阪府、女性)など、制度そのものの方向性に対して疑問に思う意見が目立った。

アンケートでは介護人材を確保していくために「介護入門的研修」以外で必要だと思う対策についても自由記述で尋ねた。

「介護・福祉は大切な職業なのに他の職業と比べてきわめて待遇が悪い。これを打開しないと人手不足は解消できない」(大阪府、女性)など処遇改善に関する意見が多かったほか、「学校義務教育の課程教科に組み込み、将来の人材を育成すべきでは」(大阪府、男性)、「困ったときに相談できる機関があればと思う。向き、不向きの最低限の試験が必要ではないか」(広島県、女性)などの声が寄せられた。

厚労省は今回の入門的研修のほかにも、生活援助の資格基準を緩和する新研修を創設するなど、未経験者参入の裾野を広げていく考えだ。現場では「有効」と「有効でない」の意見が半数ずつ。根本的には賃金の問題とする意見も両方から寄せられるなど、人手不足解消に向け重層的な対策が求められている。

アンケートは10月〜11月にかけて行い、61人のケアマネジャーから回答を得た。

(出典:シルバー産業新聞)

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